「 求人 」 一覧
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2014年7月号:人手不足に関して 『社長業について その5』
平成26年版「パートタイマー白書」にみる人材の過不足感 ◆人材の過不足感に関する調査 「パートタイマー白書」は、株式会社アイデムにより平成9年度から刊行されている調査報告書です。 この中に、人材の過不足感に関する調査結果があります。この調査は、正社員と非正規雇用の従業員(パート・アルバイト、契約社員、派遣社員)を雇用している企業に対して実施しています。 ◆若年層の正社員が不足 自社の従業員に対する過不足感を雇用形態別・年代別に問うと、いずれの形態においても、若い年代で不足感が高いようです。特に、正社員においてその傾向は顕著で、20代正社員が「不足」とした企業は56.3%となっていますし、30代正社員では47.3%と半数近くに上ります。 他の年代の正社員に対する不足感が40代:22.0%、50代:8.3%、60代以上:4.2%となっているのと比較すると、若年層の不足感よくわかります。 また、業種別では、「建設業」「運輸業」の約6~7割の企業で、20代・30代の正社員が「不足」していると回答しており、若手人材の獲得は大変なようです。 ◆パート・アルバイトの年代別過不足感 パート・アルバイトでも、若い年代のほうが、不足感が強い(20代:25.2%、30代:20.5%)ですが、正社員の不足感のほうがより強いようです。 業種別に見ると、「飲食店、宿泊業」「生活関連サービス・娯楽業」では、20代パート・アルバイトが「不足」していると回答した企業が約5割に上り、他の業種よりも割合が高くなっています。 ◆契約社員・嘱託社員/派遣社員の年代別過不足感 契約社員・嘱託社員については、どの年代に対しても「ちょうどよい」という回答が8割を超えています。派遣社員についても約9割の企業が「ちょうどよい」との回答でした。 非正規労働者を正社員化する企業が多くなってきていますが、人材不足への対応として、特に若年層の囲い込み競争は今後さらに激化しそうです。 人手不足産業でも採用できた事業所とできなかった事業所の違い ◆医療・福祉、建設業における人手不足が深刻 厚生労働省が発表した「人手不足産業における高卒求人の充足状況」によると、平成25年度の高卒者向け求人は、製造業、医療・福祉、建設業、卸売・小売業などで多かったですが、これらの産業の充足率をみると、医療・福祉で31.3%、建設業で34.2%と低く、人手不足の深刻化による充足率の向上が課題となっています。 ◆採用できた事業所・できなかった事業所の差は? 充足率が低かった医療・福祉と建設業において、高卒求人票を用いて採用できた事業所とできなかった事業所の違いをみると、医療・福祉では、早期(平成25年7月末まで)に求人を出した事業所の割合が、採用できた事業所で77.2%、採用できなかった事業所で 58.7%となり、差が見られました。 また、求人票に「採用・離職状況」の記載があった事業所の割合は、採用できた事業所で73.6%、採用できなかった事業所で60.4%となっています。 建設業でも、早期に求人を提出した事業所の割合については、採用できた事業所(69.2%)が採用できなかった事業所(45.1%)を大きく上回りました。 これらのことから、「早期の求人提出」、「求人票における積極的な情報提供」が充足に大きな影響を与えている要因と考えられます。 ◆なぜ人が集まらないのか? 高校の進路指導担当教諭に対して、充足率の向上が課題となっている3産業(建設業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業)に生徒が応募しない理由を聞いたところ、宿泊業・飲食サービス業では、「休日が少ない・労働時間が長い・勤務時間が不規則等、労働時間の問題」、建設業と医療・福祉では、「仕事がきつそう・面白くなさそう等、仕事内容(職種)の問題」という回答割合が高かったようです。 ◆充足率向上のために必要な改善点 必要な改善点について、高校の進路指導担当教諭からの意見をまとめると、「医療・福祉」では、給与・休日・労働時間等労働条件を改善し、社会的評価・イメージを向上させる取組み、日勤・夜勤といった就業規則が不規則でも生活のリズムが崩れない配慮、OJTの充実と資格取得までの制度や支援の充実などが挙げられました。 「建設業」では、将来性やスキルアップのビジョンを示すことや、3Kのイメージを払拭する取組み、労働条件の改善、「宿泊業・飲食サービス業」では、長時間拘束される労働条件改善のための交代制シフトの導入や正社員としての仕事内容とキャリアアップの将来像を示すことなどが挙げられました。 事務所より一言 牛丼、居酒屋チェーン等では人手不足が叫ばれています。しかし建設業界ではもっと以前から職人さんの高齢化による引退で不足感がありましたよ! 農業から始まり、林業、建設とこれからの日本を暗示しています。 『社長業について その5』 創業者、2代目社長などの中小企業経営者は会社の株を所有している親族であり、常に会社の人に見られています。 ただ、ブランド企業でもなく、高給を支払えるわけでもないので、辞めていく従業員も多いので、どうしても身内に働いてもらうようになります。身内が役員になり、自分勝手な行動をとるようになると家族の仲が悪くなり、会社の経営にはよろしくなくなってきます。 …
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2014年6月号:中小企業の「事業承継」他 『社長業について その4』
深刻化する中小企業の「事業承継」「廃業」 ◆「起業希望者」が急激に減少 政府が閣議決定した中小企業白書(2014年度版)で、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化している状況が明らかになりました。 また、近年、起業を希望する人を示す「起業希望者」の数が160万人台から80万人台に半減し、急激に減少している一方、起業家数は大きく変化しておらず、毎年20~30万人の起業家が誕生していることがわかりました。 ◆高齢経営者の約半数が「事業承継の準備不十分」 事業承継の形態は、内部昇格や外部からの招聘等、親族以外の第三者への承継割合が増加しているようです。 後継者の育成期間には「3年以上必要」と考えている経営者は8割以上に上りましたが、「経営者の年齢別事業承継の準備状況」を見ると、60代で約6割、70代で約5割、80代で約4割が、後継者がいないなど事業を引き継ぐ準備ができていないことがわかりました。 ◆増加する休廃業・解散の原因 近年、休廃業・解散の件数も増加していますが、廃業を決断した理由として最も多かったのが、「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」(48.3%)であり、以下、「事業の先行きに対する不安」(12.5%)、「主要な販売先との取引終了(相手方の倒産、移転のケース含む)」(7.8%)が続いています。 ◆第三者への承継支援策と廃業対策 これらの結果を受けて、政府は、第三者への承継支援策と廃業対策を進めていくとしています。 第三者への承継の支援策としては、外部に後継者を求める中小企業・小規模事業者に配慮し、高い事業意欲のある人材を確保し、後継者ニーズのある企業とマッチングさせるとともに、長期的にフォローアップしていくとしています。 廃業対策としては、(1)廃業に関する基本的な情報提供、(2)匿名性に配慮した専門家支援(電話相談)、(3)小規模企業共済制度のさらなる普及・拡大を図るとしています。 「待機時間」の扱いはどうすればよい? ◆ドライバーの待機時間に関する争い 賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間(手待ち時間)について、「荷物管理を要求されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは相当でない」として、労働時間に該当するとする判決が出ました(4月24日横浜地裁相模原支部)。 会社側は、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には該当しない」と主張していましたが、裁判所はこれを認めず、従業員・元従業員計4人に対する未払い賃金約4,289万円と、これと同額の付加金の支払いを会社に命じました。 会社側の弁護士は「判決を精査したうえで今後の対応を考えたい」としており、今後控訴する可能性もあります。 ◆「休憩時間」とは? 実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。 厚生労働省の通達では、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと」とされています。 ◆ホームページ上のQ&A また、同省のホームページでは、「私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?」という問いに対し、「休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待ち時間は休憩に含まれません。ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。」と回答しています。 事務所より一言 梅雨入りしてムシムシした日が続いていており、体がだるく素早い行動が取れません。 ビアガーデンにでも行ってちょっと発散したい気分です。 『社長業について その4』 節税のために、出来る限り出費は経費で落としたい、個人の旅行も研修旅行名目にする、接待ゴルフでも福利厚生費名目。 法人税の実効税率は40%に近いので節税のために経費にする社長さんも多い。 こうすると仕事に力が入らなくなり、現場に出てこなくなる。従業員はそんな社長をみて転職先をさがすようになります。
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2014年4月号 :御社の人事制度他 『社長業について その2』
御社の人事制度、問題なく運用できていますか? ◆人事制度、大丈夫ですか? 御社の人事制度は、設計されてから現在まで、どのくらいの期間運用されていますか? また、運用について現在、問題はありませんか? 人事制度は、無用の混乱を防ぐという観点からも頻繁に変える類のものではありませんが、企業を取り巻く環境が大きく変化している現在、その環境に合わせて制度を変えていくことも必要です。 ◆大半の企業が人事制度に課題を感じている 株式会社トランストラクチャの「人事制度に関する調査」(対象:上場および未上場企業の人事担当者)によると、現行の人事制度が事業環境・経営方針と適合した内容になっている企業は4割程度にとどまり、多くの企業で人事制度についての課題を抱えていることが明らかになりました。 また、「人事制度を問題なく運用できている」企業は、わずか2割でした。 ◆必要があれば再設計も 人事制度は、本来、企業の根幹と言えるものです。現行の人事制度について、「事業環境・経営方針との不適合がある」、「運用方法に問題がある」、「様々な課題がある」と感じているのであれば、適した形に再設計することも必要です。 これはもちろん容易なことではありませんが、社会保険労務士等、経験豊富な外部人材も活用しながら、一度、点検を行ってみてはいかがでしょうか。 「育たない若手」問題をどのように解決するか? ◆「若手社員の育成」に悩む企業は多い 団塊の世代の大量離職等により、「若手社員の早期育成」を課題に掲げる企業が多くありますが、思うように育たずに悩んでいる企業も多くあります。 では、若手社員の育成はどのように行えばよいのでしょうか。 ◆「段階的な育成」を心掛ける 新入社員の段階では、仕事の知識や業務の手順を教えるだけでなく、組織人としてのマナーを身に付けさせたり、組織や職場に慣れさせたりすることで、まず、社会人としての基礎を固めることが必要とされます。 次に、入社2~3年の社員では、与えられた仕事を着実に遂行できるだけでなく、自ら気づき、自分なりの工夫をすることができるよう、経験の場を与え、結果を振り返ることでさらなる成長を促す機会を設けることが必要となります。 入社4年以降の社員については、将来マネージャーとして職場を管理する役割を担う人材に育てることも視野に、仕事をある程度任せながら必要に応じて指示を与えたりフォローしたりして、活躍の場を徐々に広げていくことが必要となります。 ◆欠かせないフィードバック このように、一口に「若手社員」と言っても、新入社員と数年の経験を積んだ社員とでは求められる役割が異なることから、どのようなアプローチによって育成を図るかという手段は異なります。 しかしながら、いずれの段階においても、経験から得た知識を生かしてステップアップしていく流れは変わりませんので、その都度経験を振り返ることが重要となります。 その際、より効果的なのは、若手社員1人に振り返らせたり考えさせたりする方法よりも、先輩社員や上司が成功(または失敗)の理由を問いかけ、若手社員に考えさせることでフィードバックする方法です。 先輩社員や上司にとっても、自分の仕事のやり方を見直す良いきっかけともなりますので、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。 事務所より一言 『社長業について その2』 創業して、頑張って会社が儲かるようになると、節税のためと税理士からアドバイスされ、高級車を購入して経費で落とすようになります。車だけなら良いのですが、洋服や飲食店も高級になります。 儲かっている期間は長くは続きません。資金繰りを考えて現金で残し税金を払うことにしましょう。
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2014年2月号: 続 ブラック企業
「ブラック企業」に対する厚労省重点監督の結果 ◆昨年9月に集中的に実施 厚生労働省では、昨年9月を「過重労働重点監督月間」と定め、いわゆる“ブラック企業”(若者の使い捨てが疑われる企業等)に対して「過重労働重点監督」が集中的に実施されましたが、その結果が昨年12月中旬に発表されました。 ◆8割超の事業場で法違反! 監督対象となった5,111事業場のうち、82%の事業場(4,189事業場)において、何らかの労働基準関係法令違反が見られ、是正勧告書が交付されたとのことです。 主な法違反の内容は、次の通りでした。 (1)違法な時間外労働があった:43.8%(2,241事業場) (2)賃金不払残業があった:23.9%(1,221事業場) (3)過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかった:1.4%(71事業場) ◆主な法違反の事例 なお、法違反の事例として、下記のものが挙げられています。 ・長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた。 ・社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった。 ・月100時間を超える時間外労働が行われていたにもかかわらず、健康確保措置が講じられていなかった。 ・無料電話相談を契機とする監督指導時に、三六協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行われていた。 ・労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定していた。 ・賃金が、約1年にわたり支払われていなかったことについて指導したが、是正されなかった。 ◆今後の国の対策 ブラック企業対策としては、今年度から求人票に「過去3年間の採用者数と離職者数」の記入欄が設けられるなども決定しており、企業の採用活動に影響が出るものと考えられます。 今後も、ますます企業における人事労務管理が重要性を増していくことは間違いないでしょう。 「インターンシップ」の実施状況と留意点 ◆実施状況と今後の動向 経団連から、新卒採用(2013年4月入社)に関するアンケート調査の結果が公表されました。このアンケートは会員企業1,301社に対して実施され、583社(回答率44.8%)が回答しています。 このアンケート結果からは、企業の採用選考時に重視する要素、学事日程の尊重への対応策などがわかるとともに、インターンシップの実施状況がうかがえます。 インターンシップについて、「既に実施している」(58.5%)と「今後は実施する予定である」(14.2%)との回答を合わせると7割以上となり、多くの企業で実施されているようです。 また、2011年度と比較した受入れ人数が増加した企業、現在と比較した受入れ人数を増やしていく企業が、ともに3割近くあります。 ◆今後の課題 今後、学生の受入れ人数を増やしていくうえでの課題として、次のような回答がありました(複数回答)。 ・従業員のインターンシップへの理解を深めること(57.8%) ・プログラムを企画・運営できる従業員を確保・育成すること(48.6%) ・採用選考活動の実施時期が後ろ倒しにより、夏季の受け入れが難しくなること(46.5%) ・実施要件(5日間以上、職場への受入れ等)が厳しいこと(39.2%) ・コスト負担が大きいことに比べて、受け入れのメリットが少ないこと(28.1%) ・大学のキャリアセンター等と連携し、応募者数を増やしていくこと(23.6%) …
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2014年1月号 非ブラック企業他
非ブラック企業!?「若者応援企業」って何? ◆すでに4,000社以上が登録 いわゆる「ブラック企業」が話題となっていますが、厚生労働省の審査を受けて「非ブラック企業」のお墨付きをもらい、学生らにアピールする企業が増えているようです。 同省は今年4月、若者を積極的に雇用・育成する企業を認定する「若者応援企業宣言事業」をスタートさせましたが、今年10月末時点でこの宣言をした企業は4,375社に上っているそうです。 ◆「若者応援企業」の定義 「若者応援企業」とは、一定の労務管理体制が整備されており、若者のための求人を提出し、若者(35歳未満)の採用・育成に積極的であり、通常の求人情報よりも詳細な企業情報・採用情報を積極的に公表する中小・中堅企業のことをいいます。 ◆「若者応援企業」を名乗るには? 「若者応援企業」と名乗るためには、以下の基準をすべて満たしている必要があります。 (1)学卒求人など、若者対象のいわゆる「正社員求人」をハローワークに提出すること (2)「若者応援企業宣言」の事業目的に賛同していること (3)過去3年度分の新卒者の採用実績および定着状況などの就職関連情報を開示していること (4)労働関係法令違反を行っていないこと (5)事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと (6)新規学卒者の採用内定取消を行っていないこと (7)都道府県労働局・ハローワークで取り扱っている助成金の不支給措置を受けていないこと ◆「若者応援企業」を名乗るメリット 「若者応援企業」を名乗ることで、企業にとって以下のようなメリットがあります。 (1)ハローワークに提出される通常の求人情報に比べて、より詳細な企業情報・採用情報を公表できるため、会社の職場環境・雰囲気・業務内容がイメージしやすくなり、より適した人材の応募が見込まれ、採用後の職場定着が期待できる。 (2)都道府県労働局のホームページで、就職関連情報も含めたPRシートを公表するため、会社の魅力を広くアピールできる。 (3)就職面接会などの開催について積極的に案内するため、若年求職者と接する機会が増え、より適した人材の採用が期待できる。 (4)「若者応援企業」の名称を使用し、若者の育成・採用に積極的であることを対外的にアピールすることができる。 「年次有給休暇」に関する最近の動向 ◆昨年の取得率は約47% 厚生労働省の発表によると、企業が昨年(2012年)、社員に付与した年次有給休暇(年休)は平均18.3日で前年と同でしたが、社員が実際に取得した日数は平均8.6日(前年9.0日)に減少し、取得率も47.1%(同49.3%)に低下したことがわかりました。 また、時間単位の年休が取得できる制度のある企業の割合は11.2%(同8.8%)と若干増えたものの、全体の1割程度しかないことがわかりました。 さらに、内閣府の調査からは、年休の取得が進まないのは、上司の意識(取得する部下を「仕事より自分の予定を優先」等と否定的に考える)が原因である実態が明らかになりました。 ◆「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱い」の改正 年休に関連して、注意が必要な通達の変更が行われています。これは、裁判により解雇無効が認められた労働者が、復職後に年休取得を請求して出社しなかったところ、会社がその期間を欠勤として取り扱い、その分の賃金を支払わなかったこと等に関する最高裁の判決があったことによります。 労働基準法では、雇入れの日から6カ月の継続勤務期間またはその後の各1年度において全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、翌年度に決まった日数の年休を与えなければならないと定められています。 この出勤率の計算根拠について、「労働者が使用者の正当な理由のない就労拒否によって就労することができなかった日」を、年休の発生要件である全労働日に含まれると解釈したのがこの最高裁判決です。 この判決が出たことを受け、厚生労働省は、年休算定の基礎となる全労働日の取扱いを変更しました。具体的には、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、出勤率の算定にあたっては出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるとしたのです。 …
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ブラック企業:社労士通信2013年12月号
「ブラック企業」の定義と労動行政の対応 ◆「ブラック企業」の定義は? 最近、マスコミ等で大きな話題となっている「ブラック企業」ですが、「労働法令を遵守せず、労働者の人格を著しく無視したかたちで働かせている企業」、「違法な長時間労働や賃金不払い残業があり、離職率が極端に高い企業」、「就職したらひどい目にあうので避けた方がよい企業」などと定義されているようです。 ◆勤務先はブラック企業? 先日、連合総研が10月初旬に実施した「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査」(首都圏・関西圏に居住し民間企業に勤務する20~64歳の人2,000名が回答)の結果が発表されました。 この調査で、「あなたの勤め先は『ブラック企業』にあたると思いますか」と質問したころ、「そう思う」と回答した人は17.2%でしたが、若者世代ほど「そう思う」と回答した割合が多い結果となりました(20代:23.5%、30代:20.8%、40代:15.4%、50代:11.2%、60代:9.0%)。 ◆厚労省が実施した電話相談の結果 厚生労働省では「ブラック企業」という言葉は使わずに、「若者の使い捨てが疑われる企業」と呼んでいますが、今年9月を「過重労働重点監督月間」と定め、過重労働が行われている疑いのある事業所に対して重点的に指導・監督を行いました。 同省が9月1日に実施した無料電話相談には全国から1,042件の相談が寄せられたとのことで、相談内容(複数回答)は上位から、(1)賃金不払残業(53.4%)、(2)長時間労働・過重労働(39.7%)、(3)パワーハラスメント(15.6%)だったそうです。 なお、相談者が勤務している業種は、「製造業」(20.4%)と「商業」(19.9%)で約4割を占めました。 ◆労基署の調査、監督指導 厚生労働省は「労働条件の確保・改善対策」を重点施策として挙げており、今後も、労働法令を遵守しない企業に対する監督指導の強化傾向は続くものと思われます。 労働基準監督署による調査や監督指導は、労働者や退職者からの情報提供をきっかけに行われるケースも多いので、労働者等から「ブラック企業」とのイメージを持たれることのないよう、労務管理上、万全の対策をとっておく必要があります。 社員にも知らせておきたい年金の手続き ◆情報提供で従業員満足度をアップ 年金の手続きについては、本人の受け取る年金額にも影響してきますので、最終的には年金事務所での確認が必要になります。しかし、制度の概要や手続きの流れ、法改正の話題などを従業員に案内しておくことは、従業員満足度を上げる意味でも有効な手段です。 現在、政府広報オンラインのホームページでは、『知っておきたい「年金」の手続き』として、特に「第3号被保険者の不整合記録問題」の対応に関する手続きなどがまとめられていますので、こうしたものを参考にするとよいでしょう。 ◆「不整合記録問題」とは? 会社員や公務員(第2号被保険者)の配偶者で第3号被保険者であった主婦・主夫の方も、第2号被保険者の方が亡くなったり、退職した場合や自分の年収が130万円以上となったりした場合には、第3号被保険者の資格を失い、第1号被保険となります。 その場合、居住する市(区)町村の年金窓口で「第3号」から「第1号」になるための切替えの届出を行い、保険料を自分で納めることが必要となります(なお、「第3号」の主婦・主夫の方が、会社などに就職し、勤め先の厚生年金保険または共済組合などに加入した場合は「第2号」となります)。 しかし、この「第1号」への切替えの届出を行わなかったため、実態とは異なり年金記録上は「第3号」のままになっていることが後で判明するケースが問題となっています。 ◆約47.5万人が該当との推計 時効(本来届出が必要な時点から2年)により保険料の納付ができない「未納期間」が生じ、その結果、受け取る年金額が少なくなったり、受給資格期間を満たせず年金が受給できなくなったりするおそれがあり、約47.5万人(うち、年金受給者約5.3万人、被保険者など約42.2万人)が該当すると厚生労働省は推計しています。 この問題に対応するため、今年7月に法律が改正され、「第3号」から「第1号」への切替えの届出が2年以上遅れたことのある方が所定の手続きを行えば、「未納期間」を年金の「受給資格期間」に算入できるようになりました。また、最大10年分の保険料の納付ができるようになりました。 ◆小冊子やチェックリストの活用でトラブルを防ぐ 定年退職などで会社を離職する方に、社会保険や税金等に関する必要な手続きをまとめた小冊子などを手渡すと、退職時のトラブルを防ぐ役に立つでしょう。 また、会社が行う手続きもチェックリストなどを使って漏れのないようにしたいものです。自社のチェックリストは法改正を反映しているか、定期的にチェックが必要です。 お困りのことが御座いましたら、こちらからお気軽にご相談下さい。