【社労士通信】 by 今中社会保険労務士事務所

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2014年5月号:助成金不正受給と社労士他  『社長業について その3』

詐欺罪に問われることも! 助成金(両立支援助成金)の不正受給事例   ◆「不正受給」に該当するケースとは? 助成金の支給申請に際して、事実通りに申請してしまうと助成金を受給できなかったり、期待した額の助成金を受給できなかったりするため、存在しない書類や実態と異なる書類を作成・提出して助成金を受給しようとすることは「不正受給」に当たります。 実際に助成金を受給しない場合であっても、申請するだけで不正受給になるため注意が必要です。 以下では、厚生労働省から発表されている「両立支援助成金」の不正受給事例をご紹介します。   ◆不正受給事例(1) 事業主Aは、助成金の申請にあたり「事業所内保育施設の建設に要した費用の領収書の写し」の提出が必要でしたが、助成金に詳しい外部者から「他の事業主はみんなこのようにかしこくやっている」と助言を受け、建設会社に依頼して実際に支払った金額よりも高額な額面の領収書を発行してもらい、本来受給できる金額より多額の助成金の支給を受けました。 後日、会計検査院の調査において不正の事実が判明して指摘を受けたため、事業主Aは助成金を全額返還するとともに、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。 さらに、労働局により詐欺罪(刑法246 条:10 年以下の懲役)で刑事告発され、警察の捜査を受けて書類送検されました。   ◆不正受給事例(2) 事業主Bは、助成金の申請にあたり「対象労働者の出勤簿の写し」の提出が必要でしたが、もともと出勤簿を作成していませんでした。 このため、助成金に詳しい外部者が出勤簿を作成し、その写しを添付して支給申請しましたが、記載内容が実際の出勤状況と違うことが判明したため、事業主Bの助成金は不支給となり、雇用関係助成金の3年間の支給停止決定を受けました。   「非正規社員の正社員化」の動きと「限定正社員」   ◆小売、流通、外食を中心に増加 先日、衣料専門チェーン「ユニクロ」を運営する株式会社ファーストリテイリングが、現在約3万人いるパート社員・アルバイト社員のうち、半数以上の約1万6,000人を今後2~3年かけて正社員に登用していくことを発表したとの報道がありました。 同社以外にも、流通業や外食産業などにおいて、大手企業を中心に「正社員化」の動きが広がっているようです。   ◆「正社員化」のねらい この「正社員化」の広がりの背景には、以下のような企業の思惑があるようです。 ・「経験豊富な非正規社員のノウハウを活用したい」 ・「待遇改善によって優秀な人材を定着させたい」 ・「景気回復の影響による人材不足状態を解消したい」 ・「社員のやる気をアップさせて業務の質を高めたい」   ◆「限定正社員」の活用 なお、ファーストリテイリングでは、勤務地限定(店舗限定)で働くことができ、雇用期間に定めのない「限定正社員」の仕組みを取り入れるとのことです。 この「限定正社員」は、正社員と非正規社員の中間に位置する雇用形態であり、勤務地の限定のほか、職種・職種や労働時間などを限定するものもあり、最近では「多様な正社員」や「ジョブ型正社員」などとも呼ばれています。 現在、「限定正社員」の仕組みを積極的に取り入れていこうとする政府・厚生労働省の動きがありますが、何らかの「限定」があることにより、通常の正社員よりも待遇(賃金水準)が低く設定されることが一般的です。   ◆「限定正社員」に対する懸念 限定正社員には、育児や介護が必要なため「自宅の近くでしか働けない」「長時間は働けない」等、正社員として働くことに何らかの制約のある人に対して「正社員」の道を開くメリットがあるとされています。 しかし、「賃金を低く抑えるための口実として使われる」「通常の正社員よりも解雇されやすい」などといった懸念の声も挙がっています。 …