【社労士通信】 by 今中社会保険労務士事務所

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2014年11月号:マイナンバー制度、事業承継はどうする? 『社長業について その9』

「マイナンバー制度」に関する 企業の対応状況は?   ◆約7割の企業がまだ準備を始めていない! 株式会社アイ・キューが運営する人事ポータルサイト「日本の人事部」では、全国のビジネスパーソンに対して「マイナンバー制度」に関するアンケート調査を実施しました。 「マイナンバー制度への対応状況」について聞いたところ、「まだ準備を始めていない」という回答(69.6%)が圧倒的に多く、「自社内での対応を検討している」(14.4%)、「すでに準備を始めている」(5.6%)、「アウトソーシングでの対応を検討している」(2.4%)など、何らかの動きを見せている企業が非常に少ないことがわかりました。 中には「特に準備をする予定はない」(8.0%)と回答する企業もあったようです。   ◆マイナンバー制度とは? 「マイナンバー制度」は、日本国民と日本に居住する外国人1人ひとりに番号を割り振り、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を一括管理する制度で、2016年1月から利用がスタートします。 これまで国や市町村などがバラバラに管理してきた個人情報を連携させ、相互利用を可能にすることで、国民の利便性を高めると同時に行政の透明化・効率化を図ることが同制度の目的です。 民間企業でも、社会保障・税務関連の諸手続きにマイナンバーを利用することになりますが、システム変更および厳格な情報管理体制の構築が必須となります。   ◆「番号収集」と「情報漏えい」を懸念 アンケートで「マイナンバー制度に対応するうえでの課題」について聞いたところ、「従業員からのマイナンバーの収集」(28.0%)が最も多く、「個人情報の管理体制の強化」(26.8)が続きました。 情報管理の煩雑さと情報漏えいのリスクを懸念する企業が多いようで、「漏えいした場合の影響は従来の人事・給与データ以上のものになる」、「基幹系システムに与える影響は大きくコストもかかりそう」などの声が聞かれました。 また、「マイナンバー制度による影響・効果」について聞いても、「情報の一元管理による利便性の向上」(8.0%)、「各種事務処理の効率化、省力化」(5.3%)など、その効果を期待する声もあったようですが、「情報漏えいのリスクの発生」(38.7%)との回答が最も多く、不安の方が大きいことがわかりました。 制度の内容についてはもちろんのこと、導入による効果やメリットを企業側でもしっかりと認識し、2016年1月のスタートに向けて準備を進めていく必要がありそうです。   社長の5人に1人が70代以上 事業承継はどうする?   ◆経営者の平均年齢は60歳超 近年、特に中小零細企業において、経営者の高齢化とそれに伴う事業承継が大きな問題となっていますが、株式会社東京商工リサーチ実施した「2014年 全国社長の年齢調査」の結果によると、全国社長の平均年齢は60.6歳と高齢化が進んでおり、社長の約5人に1人が70代以上となっているそうです。 この調査は、同社が保有する企業データベース265万社(2014年9月時点)から、代表者の年齢データを抽出して分析したものです。   ◆社長の年齢が業績に影響? 社長の年齢分布ですが、70代以上:22.5%、60代以上:35.0%に対し、30代以下:4.0%となっており、「若い経営者の創業」や「社長交代」が停滞している状況が明らかになりました。 社長の年齢別の企業業績では、黒字企業は30代以下の構成比が80.4%で最も高く、40代:80.0%、60代:79.4%、50代:79.0%と続いています。 そして、社長の年齢が70代以上の企業では、赤字企業の構成比が22.0%と最も高くなっています。   ◆社長高齢化の弊害とは? また、売上と利益を見ると、「増収増益」の比率が最も高かったのは社長が30代以下の企業(38.2%)であり、「減収減益」の比率は70代以上(26.8%)が最も高く、次いで60代(26.1%)となっています。 調査を行った東京商工リサーチでは、「社長が高齢化するほど安定や成長を支えるビジネスモデル構築が遅れ、従来の営業モデルからの脱皮が難しく、業績悪化につながっている状況がうかがえる」と分析しています。 「社長が若ければ業績が良い」とは一概には言えませんが、社長年齢が若いほど黒字企業の割合が高く、社長が高齢になるほど厳しい業績の企業が多い傾向が見られます。   ◆「事業承継」が大きな課題 2014年版の「中小企業白書」では、事業の将来を悲観して誰にも相談せずに廃業を考えるケースがみられ、経営者の高齢化が進む一方、「後継者難」の理由からスムーズな事業承継が行われていない現状が指摘されています。 特にオーナー企業では、事業承継を希望しても子供等が承継せず、結果として社長が高齢化し円滑な事業承継が難しくなっている点が大きな課題となっています。 …